インプットリストとパッチシートの違いとは?用途や使い分けを解説
読了目安 14分 · 更新日 2026年8月7日 · バンド、音響エンジニア、会場スタッフ、制作マネージャー、ライブの準備資料を作成するすべての関係者
インプットリストは各チャンネルが“何であるか”を、パッチシートは物理的な配線先“どこにどのように接続するか”をまとめた資料です。それぞれの項目や共通点、2つの資料を分けて管理する場合と統合する場合のメリットを解説します。
TL;DR — インプットリストはステージ上の各音源をチャンネルごとにまとめた表で、各チャンネルが“何であるか”(マイク/DIの種類、スタンドの有無、ファンタム電源の要不要など)を記載します。パッチシート(パッチリスト、ステージパッチ)は、それらの信号が物理的に“どこにどのように接続されるか”(ステージボックス/スネークのソケット番号、分配器のルーティング、コンソール入力の割り当てなど)をまとめた資料です。2つの用語は曖昧に使われることもありますが、最もわかりやすい分類は「インプットリストが“what(何か)”に答え、パッチシートが“where/how(どこに/どう接続するか)”に答える」という点です。
目次
インプットリストとは?
インプットリスト(チャンネルリストとも呼ばれる)は、1行につき1つの音源を記載する表で、フロント・オブ・ハウス(FOH)エンジニアとモニターエンジニアに「コンソールの各入力が何を拾うのか、何が必要なのか」を伝えます。ステージプロットが機材の“配置場所”を示すのに対し、インプットリストは「各チャンネルがどの音源を担当するか」をコンソールのチャンネル1から順に記載します。
インプットリストは、テクニカルライダーの一部として会場やフェスティバルに送る“対外向け”資料です。質の高いインプットリストがあれば、FOHエンジニアは機材搬入前にコンソールのラベル貼り、マイク選定、ファンタム電源の設定を行えます。
典型的なインプットリストの行に含まれる項目は以下の通りです:
- Ch #:コンソールのチャンネル番号
- Input / Source:拾う音源の名前(例:「キックイン」「リードボーカル」)
- Mic / DI:使用するマイクの機種名、またはDIボックスを使用する場合は「DI」と記載
- Stand:マイクスタンドの種類(ブームスタンド、ショートスタンド、クリップ、不要)
- 48V:ファンタム電源が必要かどうか
- Notes:ステレオリンク、パッド、HPF(ハイパスフィルター)、トークバックなどの補足情報
標準的な並び順は「ドラム→ベース→ギター→キーボード→ボーカル」で、キックドラムをチャンネル1にすることで、エンジニアの感覚的な操作とリストの内容が一致するようになっています。項目や並び順の詳細な解説は、インプットリスト/パッチシートの作成方法(テンプレート付き)をご覧ください。
パッチシートとは?
パッチシート(パッチリスト、ステージパッチ、I/Oシートとも呼ばれる)は、物理的な配線ルートをまとめた補助資料です。各チャンネルをステージボックスやスネークの実際のソケット、そのソケットに接続するケーブル、分配器のルーティング(FOH/モニター/ブロードキャスト配信の分配経路)、最終的に割り当てられるコンソール入力と対応付けます。ステージ技術者やA2(アシスタントエンジニア)がステージの物理配線を行う際に使用する資料です。
インプットリストが「音源は何で、何が必要か?」に答えるのに対し、パッチシートは「物理的にどのように配線するか?」に答えます。具体的には「どのステージボックスのどのソケットに、どのケーブル/サブスネーク/マルチピンケーブルを通して、どのコンソール入力に接続し、信号をどのように分配するか」を記載します。
ツアー規模の大規模な現場で使用されるパッチシートには、インプットリストには通常含まれない以下の項目が追加されます:
- ステージボックスID + ソケット:例
SB1-07 - サブスネーク / ルーム / マルチピン:信号を運ぶケーブルの種類
- 分配ルーティング:FOH、モニター、ブロードキャスト、レコーディングの各分配経路
- コンソール入力:信号が最終的に接続されるコンソールの入力番号(デジタルスネークの入力番号とコンソールのチャンネル番号が異なる場合に必要)
- タイライン / パッチベイジャンパ:固定タイラインがあるフェスティバルステージなどで使用
要するに、パッチシートは「チャンネルの識別情報」ではなく「物理的な配線経路」をまとめた地図です。
インプットリストとパッチシートの比較
2つの資料の違いを最も早く理解する方法は、2つの表を並べて比較することです。チャンネル番号、音源名、使用マイク/DIの項目は両方に含まれる共通の項目です。そのほか、48V要不要やスタンドの種類はインプットリスト専用の項目、ステージボックスのソケット番号やサブスネーク、分配ルーティングはパッチシート専用の項目です。
図1 — インプットリストとパッチシートの比較図。共通の列は中央に配置され、インプットリスト専用の列とパッチシート専用の列は蛍光グリーンでハイライトされています。
この共通の“チャンネル番号と音源名”という骨格こそが、2つの資料が乖離しやすくなる原因です。誰かが片方のチャンネル順を変更すると、パッチシートとインプットリストの内容が一致しなくなることがあります。
共通点と用語が曖昧になる理由
実際の現場では、これらの用語は統一されて使われていないのが実情です。
小規模なクラブライブの場合、1枚の資料で2つの役割を兼ねることが多く、同じ表にチャンネル番号・楽器名・マイク・ステージボックスのソケットをまとめて「インプットリスト」と呼ぶのが一般的です。この規模では、パッチシートとインプットリストは実質的に同じ資料であり、特に問題はありません。
一方、ツアーやフェスティバルなどの大規模な現場では、2つの資料が分かれます。インプットリストはテクニカルライダーの一部として会場に送る“対外向け”資料で、「音源の識別情報と必要な機材」をまとめる役割を持ちます。パッチシートは当日の現場でA2が使用する“社内向け”資料で、「物理的な配線方法、分配器の配信経路、コンソール入力の割り当て」をまとめる役割を持ちます。中には「パッチリスト」という用語でインプットリスト自体を指す場合もありますが、これは両方の資料に共通する「チャンネル番号と音源名」という骨格が存在するためです。
2つの用語を明確に線引きする必要はありませんが、最もわかりやすい分類基準は「用途の違い」です:
- インプットリスト → “what(何か)”:各チャンネルがどの音源を担当するか、どのマイク/DIを使用するか、何が必要か
- パッチシート → “where/how(どこに/どう接続するか)”:各信号が物理的にどのステージボックスのどのソケットに接続され、どのケーブル/分配器を通ってどのコンソール入力に割り当てられるか
多くの混乱は、1枚の資料が無意識に2つの役割を兼ねていることに起因します。ショーの規模が大きくなるほど、この兼ね備えは安全上問題が生じやすくなります。
どちらを用意するべき?
多くのバンドにとって、1枚の統合された資料で十分です。各チャンネルに音源、使用マイク/DI、スタンドの有無、48V要不要、ステージボックスのソケット番号を記載する表を作るだけで、“what”と“where”の両方をカバーでき、かなり大きなチャンネル数までのショップで対応可能です。
以下のいずれかに該当する場合は、インプットリストとパッチシートを別々の資料として用意することをおすすめします:
- 分配システムを使用してツアーを行う場合:FOH、モニター、ブロードキャスト配信それぞれに分配器から別々の信号を送る必要があるため、パッチシートで各分配経路を管理する必要があります。インプットリストはこの経路を管理する必要がありません。
- デジタルスネークの入力番号とコンソールのチャンネル番号が異なる場合:コンソールのチャンネル7がステージボックスのソケット23に対応するような場合、パッチシートでこの対応関係を明確にする必要があります。インプットリストは「チャンネル7」と記載するだけで十分です。
- フェスティバルのステージ変更がある場合:固定のタイラインと会場側のパッチがあるフェスティバルステージでは、バンドのインプットリストを会場のパッチにマッピングする必要があります。このマッピング作業をパッチシートで行います。
- 複数のスタッフがステージの配線を行う場合:スネークの配線を行うA2は物理的な配線情報が必要で、ミックスを行うFOHエンジニアはチャンネルの識別情報が必要なため、2つの資料を分けることで業務が効率化します。
4〜5人編成のバンドがクラブに資料を送る場合は、ステージボックスのソケットを記載する「Patch」列を追加した1枚のインプットリストを作るだけで十分です。作成方法はこちら →
2つの資料を連動させる方法
2つの資料を別々に管理する場合の最大のリスクは、資料が増えること自体ではなく、内容が乖離することです。ショー当日によくある失敗例として、「インプットリストではチャンネル7が“ギター1”なのに、パッチシートでは“ギター2”になっている」というケースがあります。これは片方の資料だけチャンネル順を変更したために発生し、この状態になるとFOHエンジニアは誤ったギターをDCAに割り当ててしまう恐れがあります。
この問題を解決する現代的な方法は、ファイル管理を改善することではなく、単一の連動したデータソースを使用することです。インプットリスト、ステージプロット、モニターミックスのすべてが同じデータを参照するように設計されていれば、チャンネル順を変更した際にすべての資料が同時に更新され、Patch列も対応するチャンネルに連動して維持されます。
これはTechrider.liveのコア機能の1つです:1つの「Rider(ライダー)」を情報の正解とし、ステージプロット、インプットリスト、ミックス情報はすべてこのRiderから自動生成されます。生成された資料は「常に最新版を確認できるライブリンク」と「フェスティバルのWi-Fiが不通の場合でも使えるPDF」の2種類でエクスポート可能です。1回編集するだけで2つの資料が不一致になることがないのは、そもそも2つの独立した資料として存在しないからです。
さらに同じRiderは共有・共同編集が可能です:所有者がメールで共同編集者を招待すると、相手は資料を開いて編集・保存・エクスポート・編集履歴の確認を行えます。エンジニアやツアーマネージャーが自身でパッチリストを修正できるため、スプレッドシートをメールで往復させる必要がなくなります。(リアルタイムの同時編集はロードマップに登録されており、現在は非同期で1人ずつ編集する仕様です。)
FAQ
インプットリストとパッチシートは同じもの? 小規模なライブの場合は同じ資料が両方の役割を兼ねることが多いです。ツアーやフェスティバルなどの大規模な現場では、インプットリストは「各チャンネルの識別情報と必要な機材」をまとめた対外向け資料、パッチシートは「ステージボックスのソケット番号、ケーブルの種類、分配経路、コンソール入力の割り当て」をまとめた当日使用の社内向け資料として分かれます。用語が曖昧になるのは、両方の資料に共通する「チャンネル番号と音源名」という骨格が存在するためです。
ライブサウンドのパッチシートとは何? パッチシート(パッチリスト、ステージパッチ)は物理的な配線情報をまとめた資料で、各入力がどのステージボックス/スネークのソケットに接続されるか、どのサブスネーク/ケーブルで信号を運ぶか、FOH/モニター/ブロードキャストにどのように分配するか、どのコンソール入力に割り当てられるかを記載します。ステージ上で配線作業を行うA2が使用する配線地図です。
インプットリストに記載する項目は? 最低限必要な項目は「チャンネル番号、楽器/音源名、使用マイク/DI、スタンドの種類、48V(ファンタム電源)要不要、補足情報(ステレオリンク、パッド、HPFなど)」です。多くの場合、ステージボックスのソケットを記載する「Patch」列が追加され、この列がパッチシートとの共通点となります。
パッチシートに記載する項目は? チャンネル番号、音源名、ステージボックスID + ソケット、サブスネーク/ケーブル/マルチピン、分配ルーティング(FOH/モニター/ブロードキャスト)、コンソール入力の割り当て、タイライン/パッチベイジャンパです。ツアー規模の資料ではDCA/VCA、グループ/バスのルーティングが追加されることもあります。
インプットリストとパッチシートは両方必要? 多くのバンドにとって、Patch列を追加した1枚のインプットリストで十分です。以下のいずれかに該当する場合にのみ、別々の資料を用意する必要があります:分配システムを使用してツアーを行う場合、デジタルスネークの入力番号とコンソールのチャンネル番号が異なる場合、フェスティバルのステージ変更がある場合、複数のスタッフがステージの配線を行う場合。
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- 📄 テクニカルライダーとは? — インプットリストがライダー全体のどの位置に含まれるのかを解説
参考資料
- Best Practices in Developing Input Lists and Stage Plots — ProSoundWeb
- How to Make an Input List, Stage Plot and Patch a Stage — SoundGirls
- Patch List — Crescat Glossary
最終更新日:2026年7月7日 · Techrider.liveチームによるレビュー済み · 実際のフェスティバル・クラブのステージプロットに基づいて検証済み
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